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なぎさホテル

最近は重松清ばかり読んでいる。
「ナイフ」「ビタミンF」など、どの話も主人公は、悲惨だったり
宙ぶらりんでいまいち煮え切らなかったり、、
はっきりすっきりしない曇天模様なんだけど、そんな中にキラリと
人生ってそれほど悪くない、っていう本当に小さな希望の部分を
含んでいるから読んでいて楽しい。

そんな中で今日は「なぎさホテル」という短編がよかった。

≪あらすじ≫
主人公は36歳。妻と子ども2人。
不幸じゃない、ごく普通の人生。ただ、自分の人生はこんなもの
なのか、とふと気づいてからは妻との歯車がうまくいかない。
自分の37歳の誕生日、20歳の頃に当時の恋人と泊まった
なぎさホテルに家族旅行に行く。
それは17年前、未来に手紙を書ける、というホテルが行っていた
サービス。そのとき当時の恋人が37歳の主人公に書いた手紙が
自分の元に数日前に届いたからだった・・・

なんていうか、今と、未来の自分と重なるのかもしれない。
きっと私も36歳になったら、いろんなことが分からないまま
でももう言い逃れできない歳になったと感じるのだろう、
パートナーがもしいたならば、その相手に、10代や20代のころ
に感じた無茶苦茶だけどかわいい恋愛感情はもてなくて、
そのことが当然ともまだ受け入れられなくて、、、
たとえ幸せだったとしても、海をみたり夕焼けをみたときに
「私はこれでよかったのかな」なんて感傷に浸るのだろうな。

この話では主人公はほんと自分勝手。
うしろ向きだし、だいたい20代の頃の恋人のことなんて
家族がいる今、パンドラの箱みたく永遠にしまっておけばいいのに。

でもこれも分かる。未練があるわけじゃない、でも過去の想いの
強さって、ふとした一瞬に思い出して切なくなるんだよね。
彼氏と初めて長い旅行に行った帰り、新幹線内のアンケートで
「誰と来ましたか?」っていう項目に、彼が一言「嫁」って
書いていたことが、小躍りするくらい嬉しかった。
そんな忘れていたけど、とても幸せだったことをこの話を読んで
思い出した。
この話では、中年の主人公の宙ぶらりんさと相反する、20歳の
恋人から届いた手紙の無邪気さが、ほんとうに切ないくて
くすぐったい。

お元気ですか?

いろんな人に手紙をかきたいな。
それも今の、じゃなくて未来のあの人やあの人に。
なんて書こうかな。書き出しはどうしようかな。

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